2013年8月31日土曜日

新しく来園したカバ (平成25年8月)

7月4日の未明、長崎バイオパークからカバの百吉がやってきました。
7月2日に長崎を発ち日本海をフェリーで渡りやってきました。
百吉は2011年5月28日生まれの2才です。
まだまだ小さいのですが、オスの子は親離れの年齢です。
名前の由来ですが、
2011年は日本に始めてカバが来てから100年目と言うことで「百」、
たくさんの人に幸せをもたらすようにと「吉」で百吉だそうです。
とても素晴らしい名前をもらったカバです。

来園してからの百吉はとても落ち着いていて
順調に旭川の気候にも旭山の飼育環境にも
飼育係にも慣れてくれました。
とても適応力のある個体です。
秋には新居への引っ越しを控えていますが、百吉ならば問題ないでしょう。

旭山動物園には、49才のザブコがいます。
ザブコは昭和42年の動物園開園当初から旭山で生活しています。
お客さんの中には、自分が子供の頃にザブコを見て
今はお孫さんを連れてザブコを見に来ている方がいるかも知れません。
そう考えると命を預かることって凄いことなんだなと改めて思います。

足腰の弱ったザブコは水中では浮力が働くので機敏に動けるのですが、
陸上を歩くのは負担が大きいため3日に1日のペースで屋外の放飼場に出して
日光浴とリハビリ的な運動をしています。
エサは寝室の陸上で食べるのですが、立ったまま食べることができなくて
短い足を投げ出して横になって食べています。 

と言うことで2日百吉1日ザブコの3日サイクルで
屋外放飼場に出ていることになります。
百吉が外にいる日の来園者の第一声は
「カバってあんなに早く動くんだ!」です。
確かにザブコはここ10年近く朝プールにはいる時、
夕方寝室に戻る時くらいしか
動く姿をほとんど見ることはありませんでしたから… 

旭山の今までの半世紀近くを見守り続けてくれているザブコ、
これからの半世紀を旭山で過ごす百吉、
ザブコの住みかとしてボロボロになった総合動物舎は
今年きりん舎・かば館として生まれ変わります。
新たな半世紀の始まりとして百吉が来たように感じます。
動物たちに、来園者にたくさんの幸せをもたらしてくれますように。
来園したカバの「百吉」(ゲンちゃん画伯)

                     



2013年7月31日水曜日

ホッキョク○○○ (平成25年7月)

遅い春の帳じりを合わせるかのような暑い日が続いたかと思えば、
暑さも一服で肌寒くなったり忙しい天気が続いています。
 子供を亡くしたキリンのマリモは、6月に入り交尾をしました。
来年の秋こそ無事に赤ちゃんが成育してくれるよう万全を期したいと思います。

6月の出来事としてオランダから輸入して、狂犬病の検疫のために
園内で6ヶ月間隔離飼育をしていたホッキョクギツネを
レッサーパンダの隣の施設に移し展示を始めました。
歴代のホッキョクギツネはとても華奢な体つきで、小顔でどこか気品がありました。
冬毛は見事に雪よりも白いほど真っ白で、
この小さな体で気温マイナス70度でも生きていける、
どこか神秘的でさえありました。

はるばるオランダからやってきたホッキョクギツネ、
厳重に改装した検疫用の隔離施設で初お目見え、皆目がテンになりました。
あの華奢なホッキョクギツネを想像していたのですが
輸送箱から出てきた姿はホッキョクダヌキ(そんな種はいません)か?
丸々とした骨太な体型小さいとは言えない顔、プヨプヨにたるんだ皮膚…
とても神秘的とは言い難い愛嬌のある姿をしていました。

ホッキョクギツネはヨーロッパ、シベリア、アラスカ、カナダと
分布域が広く多くの亜種があります。
ただし亜種による姿の差を明記したものは見あたりません。
こんなホッキョクギツネもいるんだね、みんなで強引に納得しました。
それでも見慣れてくるとこちらも洗脳されてきてホッキョクギツネらしく見えてきます。
肥満気味の体型も、徐々にダイエットをしてスリムになりました。
今はフワフワの白い冬毛が抜け落ち、
毛足の短い濃い灰色の夏毛に換わりつつあります。

始めて来園者にお披露目をした日の夕方、
これでまた寒さの素晴らしさを感じてもらえるんだと
見入っていたら、後の方で「アレ何?ずんぐりむっくりしてる」との声が…
僕は「…」。 

6月は、もう4年目になりますが天売島に海鳥の観察に行ってきました。
今年は例年よりもケイマフリやウトウの繁殖地の観察を入念に行いました。
合わせて野良猫の観察も。
天売島の島ニャンコは丸顔、
おしりプリプリでとても愛嬌のある個体が多いことが判明しました。
野良ネコ、野ネコが海鳥を補食する問題が発覚しているために
野良ネコ野ネコを馴致して里親を捜すプロジェクトが具体化しつつあるのですが、
こいつらの器量なら「いけるかも」と思いました。

これから夏本番です。皆さん短い夏を満喫しましょうね。

2013年6月30日日曜日

命をつなぐ (平成25年6月)

今年のゴールデンウィークは
自分の記憶にはないほどの悪天候で終始しました。
以降もパットしない天気でしたね。

それにしても5月の下旬になって桜が咲くなんて聞いたこともありませんね。
農作物やお米は大丈夫なのでしょうか?
僕たちの豊かな暮らしは土から生まれていることを
この時期に残雪を見ると切実に実感します。

大型草食獣館(仮称)ですが着実にその姿を表しつつあります。
ワクワクしてきました。名称は「きりん舎・かば館」でいかがでしょうか?
※先日この名称が正式に決定しました
シンプルでパンフレットにも表記しやすいし、
何よりもイベントなど案内時の園内放送でも
分かりやすいと思います。ひねりがなさ過ぎですかね…

秋のオープンに向けて楽しみにしていたのがキリンの誕生でした。
親子3頭での引っ越しを夢見ていました。
現在の施設でのやれることはすべてやり出産に備えました。

キリンの子は出産から2時間以内で起立し
母親の乳首に吸い付き授乳するのですが、
生まれた子は起立することができませんでした。
起立させる補助をしようにも、
母親が私たちが寝室にはいることを許さないため、
仕方なくどうにか母親を屋外放飼場に出し、
点滴、カテーテルでの授乳、保温を行い
夕方までにどうにか自力で起立できるまでになりました。
その間母親は外の放飼場にいましたが
盛んに扉の前に来て寝室内を気にしていました。

夕日が落ちた頃に寝室内で同居させました。
子は座り込んでいたのですが
母親は子の匂いをかぎ舐めていました。
育児を放棄していないことを確認し
一晩そのままにして徹夜で観察することとしました。

子は寝ている時間が長く
結局自力での起立、授乳には至りませんでした。
翌朝母親を外に出し、子の状態を確認しましたが、
想定以上に衰弱が進行していて回復させることができずに死亡しました。
寝室が2部屋しかなく、
親を夜間外に出しっ放しにはできないほど気温が低い中での
最善を尽くしたつもりですが残念な結果でした。
新居での新たな命の誕生を待つことになってしまいました。

そういえば、5月21日なんと園内でヒメギフチョウを見つけました。
こんなに遅くに、驚きでした。
ヒメギフチョウの寿命は1年ですが
その内サナギで約10ヶ月を過ごします。

4月下旬のほんの一時しか飛んでいる姿を見ないのですが
カタクリなどの花で吸蜜する姿はとても美しいです。
園内では在来種の植物をたくさん植えているのですが、
ヒメギフチョウの幼虫が食べるオクエゾサイシンも実はあります。
昨年は幼虫を3匹確認しました。
きっとその内の一匹なのかなと思うと嬉しくなりました。
写真を撮るのにちょっと捕まえてしばらく見とれて、
頑張れよと声をかけ放しました。

また幼虫見れるかな?