2015年5月25日月曜日

新たな挑戦を続けていくために (平成27年5月)

さて恒例の閉園期間、一年で最も忙しい期間なのですが…
今年は過去経験のない早さでの雪解けでした。
閉園して一週間はひたすら雪割り、雪下ろしが全く必要ありません。
何か拍子抜けでのスタートでした。
例年夜にやる作業を日中からやるようにするなど工夫をしながら、
なんとすでにパネル作成や、ヒグマ、さる山のチップ入れ等々
追い込みで行う作業もこなしつつ日々に追われています。
なんと15日現在でこぶしのつぼみが膨らみ始めています。
桜の開花は4月27日と見ました。
さて結果はどうなっているでしょう?
開園の日に桜が満開!

動物園は従来の飼育展示係、管理係といった縦割りの組織を見直し
スタッフ制に移行したのですが、本格的に人的な交流を深め、
飼育をしていた職員を事務部門のスタッフに、
事務をやっていた職員を飼育部門のスタッフに内部で異動をしました。
旭山開園以来の大変革です。
新たな視点での取り組みや、仕事の価値観の共有など
大変だけど将来の旭山の大きな力になっていくと信じています。

役所的な発想で右と言われれば左を行く、
それが旭山の原点でもあるからこれからも前進するために、
飲み込まれないためにチャレンジは続けていかなければと思います。
とにかく皆一生懸命頑張っています。

今年の夏期開園からこども牧場の向かいにあったワシタカ舎を改築して
クジャク舎として生まれ変わりオープンします。
ワシタカ舎の鳥たちはバックヤードに繁殖用ケージを新設して引っ越しました。
クジャクの飛び回るたくましい姿を見ていただきたいなと考えました。
あの長い飾り羽根をぶら下げてほぼ垂直に飛び上がる姿は圧巻です。
鳥本来のたくましさを感じていただけるのではないかと思います。
現在担当者はいかにクジャクの習性を引き出せるのか、
止まり木の配置などに頭を悩ませているところです。
さてさてどんな獣舎に生まれ変わるか楽しみです。
こども牧場ではイヌの飼育も改めて始めます。
秋からの工事になりますがさる山のリフォームも控えています。
今年度もより豊かに命を感じられる場であるために努力をしていきたいと思います。

2015年4月19日日曜日

健康のために始めたペンギンの散歩 (平成27年4月)

もうすぐ新年度です。
記録的な少雪に妙に暖かい日が続きました。
とにかく冷え込みが緩かった、そんな印象でしたね。
そんな中ペンギンの散歩ですが、
例年3月からは一日一回にしているのですが、
今年は3月中旬まで一日二回の散歩となりました。

キングペンギンは気温がマイナス5度以下くらいになると
自ら水中に入るのを嫌うようになります。
魚は陸上で与えているのでますますです。
食っちゃ寝状態になります。
そこで、食事制限と考えるところですが、
よく動きよく食べる方が健康的なので、
キングペンギンは本来よく歩く鳥なので、
放飼場から出して散歩をさせようということから始めたことです。
最初は閉園後に行っていたのですが、
どうせならばと開園時間に行うこととしました。

平成14,15年度は本当にお客さんと散歩でした。
お客さんが今よりは少なかったからです。
それでも毎年10万人づつ増えていて
平成15年度は60万人を超え快挙と言われていたんですよ。
そして魔の16年度を迎えます。
一気に観光客が押し寄せるようになりました。
全く人員の足りない中でペンギンの散歩を続けました。
ルールは守ってもらえません。
ペンギンに触る人、ペンギンが取り囲まれる事態も生じました。
飼育係とお客さんのトラブルさらにはお客さん同士で場所取りの小競り合い…、
これが僕たちの求めていた結果なのか?何度ももう止めようと思いました。
散歩の出発前に、ルールマナーを守っていただけない場合は、
散歩を中断して引き返しますとアナウンスをしてから散歩に出かけました。
やり続け言い続け、今では完全とまでは言いませんが、
安心して散歩ができるようになりました。

話はそれましたが、キングペンギンの換羽は2月から4月に集中します。
3月は換羽中のペンギンが多くなり、
散歩にも出たがらなくなる個体が増えるために、
一日1回にするようにしていました。
今年はなぜか換羽の始まりが遅く一日2回が長くなりました。
ペンギンのために行っているのですが、
今年はお昼から来園されたお客さんもラッキーだったかもしれませんね。
雛2羽もキウィのような茶色のモコモコから親と同じ羽根に生え替わりました。
今年も雛の誕生を楽しみに、当たり前の冬が来ることを祈りたいと思います。

2015年3月18日水曜日

雄も雌も、子育てを学ぶ機会が必要です (平成27年3月)

原稿を書いている今は2月半ばの厳冬期、なはずなのに
じわじわと雪解けが進んでいます。
山の南斜面は土が見えている!どうしてしまったのでしょう。
このままだとペンギンの散歩が3月の早い時期に終了になるのではと、
あり得ないとは思うのですが、もしかしたらと心配になります。

オランウータンのリアンが第3子を出産しました。
7年ぶりの出産です。
子供から目を離しても心配なくなるまで排卵が止まるオランウータンなのですが、
それにしてもちょっと間が長かったのですが、無事出産しました。
モリト(7歳)が母親にべったりでリアンもなかなか子離れができずに
ジャックとの同居の苦労などいろいろありました。

飼育下では、本来ならばまだ母親と過ごしている3歳前後で
他の動物園に引っ越し新たな生活を始めることが一般的でした。

その理由は、新たな環境になじみやすい(飼育しやすい)、
2次性徴が始まってからだとペアの形成が難しい、
特に雌雄で体格差が大きいので事故の可能性がある(飼育が難しい)、
そして何より小さい方が可愛らしい(報道発表で受けがいい)…
よく考えると皆人間側の理由でした。

その結果、母親と過ごし、弟妹の誕生に立ち会い、子育てを共有し、独り立ちする
本来の成長過程を踏まないままに大人になるオランウータンが多くなりました。
雌雄で飼育しているのに繁殖しないペアーが多くなりました。
繁殖しても育児放棄し人工保育になってしまう場合も多くあります。
大人になると単独で生活するオランウータンの場合、
出産や子育ての学習の機会は
母親と過ごしている間の一回の出産に立ち会う時しかありません。

リアンの場合も6歳で当園に来たのですが弟妹ができる前でした。
リアン第1子出産の時は生みっぱなしで触ることもできませんでした。
介添保育を行い母親になりました。
第2子モリトの時はすぐに抱っこしたのですが、
胎盤の処理(食べてしまう)ができずに、へその緒の処置は僕たちで行いました。

メスの子の場合は、母親と過ごす時間はとても大切だと改めて思います。
ではオスの子は?
飼育下では交尾ができない、メスに対して乱暴といった問題が多くあります。

やはりオスの子も出産育児を共有することが大切なのではないか?
やんちゃでリアンももてあまし気味なので心配もあったのですが、
今回の出産はモリトも同居のまま行いました。

今回は完全に処理するまでではなかったのですが、胎盤も食べました。
しかもモリトも一緒にです。
母子2頭、口の周りが真っ赤でした。
そして母親が抱く子をそばでじっと見つめています。
そっと手を出すのですがリアンに怒られます…。
モリトはきっと立派なオスになる。
そう確信できました。