2013年4月30日火曜日

新年度へ向けて (平成25年4月)

暖かくなったり、雪が降ったり、
でも確実に雪解けは進み春の気配です。
総合動物舎の建て替えの仮称大型草食獣館の建設工事も、
不安定な天候の中確実に進んでいます。
それにしてもそろそろ仮称ではなく
正式な名称を考えなければいけませんね。
考えてみれば、昔からあるから不思議に思いませんが、
総合動物舎も何か分からない名前ですよね。

ちなみに総合動物舎はキリン、カバ、
ペリカン、ダチョウなどを飼育している施設で、
昭和42年の旭山動物園の開園の時からある建物です。
当時から旭山の中心となる施設でした。
現在は開園当初の建物は総合動物舎だけになりましたが、
昔の建物には小獣舎、小動物舎と言う名称の施設もありました。
今思えばこれも分かるようで分からない名前でしたね。

仮称大型草食獣館は、
現在総合動物舎で飼育している動物たちの引っ越しで、
結果としてほとんどがアフリカに生息する動物たちです。
アフリカ館、サバンナ館など候補はあるのですが、
今まで整備してきた施設に地域を現す名称がない…
地域ごとのエリア分けをして展示していない、
など考えだしたら分からなくなります。

現在の総合動物舎の近況ですが、キリンのまりも、
お腹が大きくなってきました。
今回は目立ちます。
予定日は幅があるのですが、初春の頃かなと考えて
安心して出産に集中できる環境を整えています。
順調にいって親子3頭での引っ越しになればいいなと思います。

カバのザブコですが、ご存じのようにザブコは旭山動物園開園当初から
ずっとあの場所で暮らしてきました。
足腰の衰弱が進み、寒い間は3日に1日外に出る生活パターンです。
餌も足を投げ出して寝ながら食べているのですが、寝室内のプールに入ると
浮力のおかげで足の負担が軽くなりまだまだ元気です。
引っ越しできるかなって慎重に様子を観察していきたいと思います。

ペリカンは今ととりの村の建物の中で越冬しています
(夏期開園から外に展示しています)
ダチョウとエミュウは元気に雪の中で過ごしています。

新居は秋に完成しますが、一番の大事は引っ越しです。
キリン、カバの引っ越しは一大イベントになります。
歩いて引っ越しにはならないので、大きな檻に入れて、クレーンでつり上げて、
新居に降ろして…今までに経験のない大がかりな作業になります。
今からそのシュミレーションをしています。

新年度も新たな取り組みが続きます。
振り返った時充実した年だったと思えるように頑張りたいと思います。

2013年3月31日日曜日

エゾシカの治夫 (平成25年3月)

エゾシカの治夫が死亡しました。
1994年の春に赤ちゃんで保護された個体でした。
当時は山菜採りで森に入った人が子ジカが一頭でうずくまっていたから
かわいそうに思い誤認保護するケースが年に数件ありました。
エゾシカは森の中でひっそりと暮らしているんだなと
珍しかったことを思い出します。

保護されたエゾシカは隔離室でお皿に入れたミルクを飲むように餌付け、
数日したらうらの草地や園内に散歩に連れ出し
さらに数日したら昔のエゾシカ舎に連れて行き
仲間入りの訓練をしました。

エゾシカは特にメスはよそ者を受け入れたがりません。
日中保護個体を同居させておくのですが、
追い払われて居場所をなくし柵の隙間から逃げ出し、
夜過ごす隔離室の前にいるということが続きます。
気長に繰り返すことで保護個体もエゾシカといる方が落ち着くようになり、
メスたちも受け入れるようになります。治夫もそんな保護個体でした。

治夫は成長し、たくさんの子を残し、新しいエゾシカ舎では堂々とした風貌で
たくさんの来園者を魅了しました。
数年前から角の枝分かれが正常ではなくなり、一昨年の秋の繁殖期には、
立派に成長した息子に遠慮するようになり
今シーズンは体力の衰えが顕著になっていました。
死因は老衰で見事に生を全うしたと思います。

治夫が生まれてから19年でエゾシカ史は大きく変わりました。
理由はどうであれ、町中に現れたエゾシカは保護し山に放し、
山の中では年間10万頭以上のエゾシカが無差別に駆除されています。

エゾシカほど北海道の四季折々の豊かさと厳しさを実感させてくれる動物は
いないのではないかとつくずく感じます。
体毛の色、角、鳴き声、群れすべてです。
エゾシカ舎のあべ弘士さんの絵が見事にそのことを現しています。
素晴らしいエゾシカとどのように共に暮らしていくのかが
見えなくなってしまいました。

治夫が保護された頃は、
エゾシカってこんなにつぶらな瞳なの、可愛らしいだけでもよくて、
まさか実はエゾシカが増えすぎてこのままでは農作物の被害だけでなく
自然そのものまで破壊してしまう存在です
なんて話をしなければいけなくなるなんて考えてもいませんでした。

ふと治夫のことを書いてみたくなりました。

2013年2月28日木曜日

雪明かりの動物園 (平成25年2月)

新年を迎え、昨年末から始まった雪と寒さとの闘いが続いています。
それにしても3日の吹雪には参りましたね。
出勤できた職員が力を合わせ最低限の雪かきを終え開園できました。

来園者は来るのだろうか?どうやってくるのだろうかと思っていたのですが、
この日1000人以上の来園者がありました。
その多くが観光客で、さすが旭川雪が多いですね!綺麗ですね!
とあっさりと言われて複雑な思いでした。
気候変動はこれからも続くのでしょう。
それにしても天気予報で雪マークがあると
札幌にさえ行くのがためらわれますね。
逆もまた同じなんでしょう。

さて、現在大きなイベントの準備に追われています。
もう雪はうんざりだねと言っていた昨年の末に、
職員の中から雪があるから心が温まることができないかなと
雪明かりの動物園との発想が生まれました。
どうせやるなら外に出る動機が強くなる冬まつり期間中にしよう!
とあれよあれよでやることに決めました。

夜7時まで開園、アイスキャンドル数百個に明かりをともし、
静かな冬、雪明かりの中で見る動物たち、ワクワクします。
が当然このための予算はないので大変です。
飼育も管理もなく全員でキャンドルの製作、
お客さんの対応をしようと盛り上がっているのですが
果たして行ってよかった!になったでしょうか。
やることが結果ではなく、
結果をとらえてさまざまなことに繋げていくことが
重要なのだと考えています。

秋にオープンした北海道産動物舎、
先日の朝オオワシが気持ちよさそうに水浴びをしていました。
気温は優にマイナス10度を下回っているのに…
外来種であるアメリカミンクの展示も施設利用の許可が出たので始めました。
飼育展示を予定していたアメリカミンクとアライグマは特定外来種と言って
飼育することに関して施設と共に許可を得なければいけないのです。

ミンクもアライグマもその動物だけを見ると素晴らしい生き物ですが、
北海道に定着し野生化することがどうして問題になるのか?
そのことに気付いてもらえる展示を目指します。

春になれば小型のフクロウ類や小鳥などの展示も始まります。
冬を楽しもうと言っておきながらなんですが、春が来るのが楽しみです。