過去に例を見ない雨にたたられた夜の動物園も終わり、 カンタンも鳴き始め秋の気配が漂い始めたこの頃です。 今年は節電の影響もあってか、 例年より関東からのお客さんが多かったように感じました。 私たちの文明はどこに向かっていくのでしょうか? 夜の動物園の期間中、自分の中でのワクワクは、 ミーハーですがオオカミでした。 見る見る大きく逞しくなる子供たちの行動と 最近頻繁に見られる親と一緒に遠吠えをする姿を 月明かりで見てみたいと期待していました。 辺りが暗くなると親が丘の上に座り見守る中、 子供たちがじゃれ合い走り回っています。 やはりケンとマースも子が生まれ守るべき群れを持ち守るべき場所を持ち、 一回り成長したように感じます。 そして閉園間近の遠吠えです。 父親のケンが鳴き始めると子供たちがケンの周りに集まってきます。 ケンに寄り添うように並び、首を伸ばして 口を月明かりの空に向け高く突き出し、 まだ遠吠えにはほど遠いのですが鳴き始めました。 周りで見ていたお客さんの子供たちも一緒に遠吠えをし始めました。 思わず涙が…出そうになりました。 120年前の北海道にタイムスリップしたような感覚というか、 昔旭山でもこの一帯をテリトリーにしていた エゾオオカミの群れが特別なことではなく、 ヒトに聞いてもらうためではなく、 日常の生活を守るために遠吠えをしていたのかも知れません。 動物たちは環境と共に暮らし、 ヒトは環境と対峙し克服するかたちで暮らします。 ヒトの文明は過去何度も滅びています。 環境破壊が滅亡の原因だと分かってきています。 ヒトは同じことを繰り返しています。 果たして一番智慧のある生き物は誰で 一番愚かな生き物は誰なのでしょう? そんなことを考えながら夏の夜が終わっていきました。 | |||
この日記は旭川市の「市民広報」に「動物園からの手紙」として毎月掲載されているものの、ほぼ原文です。なにぶん、原文なので不適当表現や言いまわしがあると思いますが、お許しを・・・。番外編も要注目です。ゲンちゃん画伯が書いた絵も楽しみながら、読んでみて下さい。