2002年9月15日日曜日

ほっきょくぐま館!いよいよオープン(平成14年秋)

今年度、最大のイベント「ほっきょくぐま館」のオープンもまぁ及第点でしょか。
どうしてもここにお客さんが集中するので、
観覧までの待ち時間が長かったりとご迷惑もおかけしました。
オープンまでのひと月は短いようなとても長いようなひと月でした。

9月3日、上川町の北の森ガーデンにいる
今年29歳(日本最高齢)になるカンゾーの麻酔を行い、輸送檻に入れる。

9月5日、当園で飼育しているコユキ(今年27歳)とハッピー(同22歳)、
そしてロシアより購入し、
もうじゅう館で飼育していたイワン(同2歳、仮名)の3頭を麻酔し、
ほっきょくぐま館の寝室に移動、この時点では工事は続いていて、
放飼場はまだ使えない。
一日も早く寝室に慣らすのが目的です。

9月6日、カンゾーを上川より搬入、麻酔後寝室に入れる。
カンゾーとコユキをカプセルのある放飼場に出し、
ハッピーとイワンを水中が見える放飼場に出すことにしました。
カンゾーとコユキは正直ご老体です。
水中を泳ぎ回って遊ぶにはかなり無理があります。
決定はしたのですが大きな問題がありました。
それぞれのペアリング(同居)がすんでいないのです。
ホッキョクグマは、陸上最大の肉食獣で、
本来は単独生活をする動物です。
同居は慎重に行う必要があります。
檻越しでのお見合い、精神安定剤を使っての同居と
通常でも3週間は必要とします。
できればオープンまでにはと考えました。

9月13日檻越しにお見合い。
カンゾーがコユキを、イワンがハッピーを極端に怖がる。
獣舎に慣れないうちに、恐怖心が強くなるのを警戒しお見合い中止。
それぞれ1頭ずつで展示することを決定しました。

9月15日、カンゾー初放飼。電柵を5回も触って腰を抜かすが、
どこが触ってダメかを学習。まずは成功。

9月17日、小樽水族館に展示用の海水魚をもらいに行く。

9月18日、午前イワンを午後にハッピーを初放飼。それぞれ2回感電。
ハッピーは大ショック。

9月19日、イワン、餌に釣られて初泳ぎ。
ハッピーは出るけど扉の前から動かず。

9月20日、オープン前日。
なんと海水魚水槽1本の魚が大量死。
どうにか毛ガニを確保。
海水を作り入れ替えるが、夜水槽の冷却装置故障。
どうにかなったがガックリと疲れる。
結局,カンゾーとイワンにそれぞれ頑張ってもらうことに。

ペンギンやアザラシの様に水中にいる時間が長い動物じゃないこと、
基本的に無駄な動きはしない肉食動物であること。
この2点で今回は苦労しました。
手作り看板を増やし、少しでも皆さんの満足度が高くなるよう頑張ります。
冬もう一度見に来て下さい。
それまでにはペアリングも終わり、展示も充実していると思います。
すべてパーフェクトでオープンできなかったのがちょっと残念でした。

ほっきょくぐま館がオープンして、さらにたくさんの方が来園してくれたので、
夏期開園期間中の入園者が、旭山動物園創立からの最高記録、
なんと60万8千人を達成しました。
一日平均で3千5百人にもなります。
残念なのは土曜、日曜日に来られた方は、通行整理の上、
待ち時間まであるような状況で動物を観てもらわなければならなくて、
僕たちが観てもらいたいと思っている動物の姿や、
手作りの看板などを満足に見てもらえないことです。
きっと「なんだ…」と感じられた方も多いのではないかと思います。
そんな方は、どうか平日に来て、ゆっくりと過ごしてみて下さい。


ホッキョクグマのイワン

画:ゲンちゃん