2013年12月31日火曜日

キリンとカバの目覚めた姿 (平成25年12月)

いよいよきりん舎・かば館がオープンを迎えました。

最大の難関である動物の引っ越しも無事に終わり、キリン、カバ、ダチョウの
新施設での生活が始まりました。
数日間は新しい寝室で過ごし、寝室の居心地の良さ、
安心を動物たちに感じてもらいます。
と同時に動物が暮らし始めて初めてわかる
設備上のちょっとした不具合の改善なども行います。

動物たちが寝室に慣れた頃を見計らいいよいよ放飼場への扉を開けます。
放飼場にはよりキリンらしくよりカバらしくよりダチョウらしく生活できるよう
新たな工夫がたくさんあります。

果たしてそれらが動物たちに無理をかけるのではなく、ふとその動物らしさを
引き出すようにできたのか?私たちにとっても緊張の瞬間です。

キリンは寝室になじむのも順調で、寝室では施工業者さんと共に悩んだ、
足が滑らない床もほぼ完璧に機能し、
キリンたちは引っ越し当日からとても落ち着いていました。

初めての放飼場は?前からここで暮らしていたかのように落ち着いていて、
悠々と歩き始めました。ふと気がつきました。歩幅が広い!
総合動物舎の放飼場は傾斜があったからなのか?そして走りました。
映像で見るアフリカの大地を走る
スローモーションのような独特なあの走り方です!
あっこれでもう大丈夫!そう確信しました。

次はカバです。おばあちゃんのザブコは新しい環境に戸惑っています。

46年間過ごした景色、険しい段差、体の使い方
すべてが体に染みついていて、
安心快適な新しい世界になじむには
ザブコに一つ一つ納得してもらうしかありません。
初めての土を踏ませてやりたい、はやる気持ちを抑えなければいけません。

百吉は若く好奇心が旺盛です。寝室にもすぐに慣れ、
いよいよ室内プールへの扉を開けました。
なだらかなスロープで入水できる水深1,2メートルの場所までは
すんなりと入っていきました。

ここからがカバの秘められた能力が目覚めるか、
読み違えてないか、の勝負でした。
カバは水よりも比重が重たいので
水中では泳ぐのではなく水底を歩きます。

一番深い水底まではスロープではなく
エイヤッと潜らなければいけない構造になっています。
百吉は、水中を見回しエイヤッとは潜りませんでしたが、
浅い水深のプールの縁を歩き深みの縁で足を踏み外しました。
カッと目を見開き、芋虫のように体をくねらせ沈んでいきました。
溺れた!ドキッとしました。

でも水底に着地した瞬間、百吉は冷静になり、
水面を見つめ地面を蹴りジャンプしました。
まるで空を滑空するように、水面に到達し浅瀬に着陸しました。
秘められたカバの能力が目覚めた瞬間に思えました。

ダチョウは外構工事の関係で、無理をせずに様子を見ています。
とにかく是非見に来てくださいね。