2011年11月30日水曜日

人のわがまま (平成23年11月)

今年から、閉園期間が変わりました。
この手紙がみなさまに届く頃はまだ閉園期間中ですね。
10月の第3日曜日までの夏期開園期間を11月3日までとし、
まだ秋の気配が残り、足を運びやすい時期まで開園期間を伸ばしました。

その代わりに園路や獣舎の補修、越冬作業のための休園期間を
11月4日から17日までとしました。
18日から冬季開園が始まりますのでよろしくお願いします。

10月も中旬に入り、ハクチョウ類などの水鳥(野鳥)が
渡ってくる季節を迎えました。
昨シーズンは高病原性鳥インフルエンザが
日本各地の養鶏場などで発生し、野鳥での発生報告も相次ぎました。

疫学的な調査から感染ルートとして
中国や韓国からの渡り鳥が持ち込むルートと
シベリアなどの北方から北海道を経由する渡り鳥が
持ち込むルートがある可能性が非常に強いことが判明しました。

今シーズンはウイルスが持ち込まれることを前提
にさまざまな議論が行われ、対策が講じられつつあります。
野鳥にとって幸いだったのは、感染力や死亡率が低く、
過去に諸外国で見られたような
群れごと全滅するような事態になっていないことですが、
裏を返すと感染したまま移動し
糞中にウイルスを排泄する個体が存在することになり、
各地での伝搬が止まらないことになります。

人の側が一番恐れているのはニワトリへの感染、人への感染ですが、
根本的な原因を招いたのは、
人の側が自分たちにとっていいところだけをつまみ食いするような
ハクチョウ類への関わり方をし続けてきたことだったのではないでしょうか。
結果ヒトとハクチョウの距離が不自然な近さと密度になってしまいました。

全国的な一方的な餌付けの自粛は
ハクチョウたちにとっては死活問題です。
今までとは違うハクチョウたちの行動を招くでしょう。
それがまた人にとっては不都合、
さらには恐ろしいになる可能性があります。
でも翻弄されているのは
常に動物の側であることは忘れてはならないでしょう。

都合がいいと言えば、最近アザラシのあらちゃんが話題になっています。
またもお決まりの特別住民票です。
荒川に迷い込んだアザラシの側に立ち興味、関心を持つと
まったく違う関わり方が生まれるはずです。

これからのさまざまな生き物との共存を考える時、
人の側の興味、価値観に引き込んで相手を見る関わるスタンスから
離れないといけない時期なのではないかと切に思ってしまいます。
なんでここに!?(ゲン画伯)