2009年9月30日水曜日

秋の風物詩 (平成21年9月)

夜の動物園も終わり,足早に秋の気配です。
昨年度に続き来園者数は減少しているのですが,行列も緩和されて,
日差しの強い夏場は特にありがたいことではないかなと感じています。
とは言いつつも,さてどのように評価されるのでしょうか?

今年初めての試みとして,

博物館,科学館,動物園が連携して活動をしてみよう!と,
「昆虫の不思議な世界」展を

3施設がそれぞれの得意分野を生かして開催しています
(9月23日で終了いたしました)

旭山動物園では旭川の「鳴き虫展」を開催することとしました。
鳴き虫の定義付けはキリギリスとコオロギの仲間とし,
旭川で聞くことができる鳴き虫全種の展示をしています。

7月の下旬から採集しようとスタッフで話し合ったのですが,
今年は7月の低温でなんとキリギリスさえ成虫になっていませんでした。
こんなことが…と唖然としました。

8月に入り天候が回復し,やっとキリギリスが鳴き始めました。
照りつける日差しの中,

汗を拭き拭き園内と旭山スキー場で無事全種採集ができました。

キリギリス,イブキヒメギス以外はまだ成虫になっていませんでした。
一つ発見は,成虫よりも幼体の方が捕獲しやすいことでした。
特にヨモギの中で生活しているカンタンは

手強い相手との印象が強かったのですが,
ヨモギの群生地の中で捕虫網を振り回しただけで,

まだ小さな幼体がたくさん捕れました。

クサキリやササキリもそうでした。
鳴かないと見つけにくいのですが…
彼らが鳴くのは(オスだけ)メスと出会うための求愛行動なのですが,
鳴くことは他の生き物にも自分の居場所を教えることになります。
野鳥やカナヘビ,アマガエル…彼らを狙う動物はたくさんいます。
次の代を育むのも命がけなのです。

北海道にはあの文部省唱歌「虫のこえ」に出てくる

マツムシやクツワムシはいません。
せっかくの機会なので,

本州からあの歌に出てくるオールキャストを送ってもらいました。
到着してから数日,事務所に置いておいたのですが,
てながざる館のオープンに向けてなんやかんやと仕事をしていると
マツムシがチンチロリンととんでもなく澄んだ音色で鳴き始めます。
もうすぐ秋なんだなとしみじみとします。

日本は四季を彩る生き物であふれている国なんだなと思います。
この豊かな四季がいつまでも続き,共に暮らしていきたいものですね!