2004年10月29日金曜日

日本の常識、非常識?(平成16年10月)

9月は来園者90万人と100万人をあっさりと達成してしまいました。
あの台風の日に800人近くの来園者があったのには驚きました。
「今日はすいててゆっくり見られるわ」
のんきにしゃべっているのには「・・・」でした。
幼稚園などの団体まで来ていて、
子供たちが強風に怯えていて「・・・」でした。
とにかく100万人は夢の数字としてとっておきたかった数字です。
本当にいつかそんな日が来るのかも・・・
もっと大事にしておきたかった気がします。

さて、オランウータンです。
日本では雄親と、母子を一緒に飼育することは一般的ではありません。
野生での単独生活という習性や、
同居して子供が殺されてしまった話や見た目の体格差や、
とにかく一緒には飼育できないという固定観念がありました。
ところが欧米では同居が当たり前です。
出産の時すら雄を同居させたままとの情報を得ました。
僕たちは野生でも雄と母子が出会わないわけはないし、
他のサル類のような父子のコミュニケーションはないにしろ、
同居は不自然なことではないのではないだろうかと思っていました。
モモが生まれて約一年半、
午前中にジャックを
午後からリアンとモモを放飼場に出していましたが、
外に出ている時間が短く、
とくにジャックはリアンに会えないこともあってか
いらいらしていることが多くなっていました。
「ならば」と一緒にすることにしました。

寝室内でのお見合いの後、9月5日朝8時、
まずリアンとモモ次いでジャックを放飼場に出しました。
リアンはちょっとビックリして間合いをとります。
ジャックはリアンのすばしっこさには
ついていけないことを自覚しているので、
興味津々なのですが追いかけません。
そしてジャックとリアン最初の同居の時のように
「いじけ作戦」を開始しました。
小さくなっていじけているジャックを見て
リアンはモモを抱っこしたままじわじわと近寄ります。
目と鼻の先まで近寄ってもジャックはじっと耐えています。
「僕は何もしないよ」目が訴えています。
でも耐えきれずに手がピクリ、リアンはサッと離れてしまいます。
ジャックはロープや木に八つ当たりをして、
気を落ち着けてまたいじけ作戦です。
そんなこんなで同居は成功しました。
やはり父と子、父と母と子といった
コミュニケーションは見られないのですが、
ジャックは満足のようです。
リアンもジャックのそばではモモを自由にはしませんが、
ジャックのそばで微妙な距離を保ちながら寝そべったりしています。

オランウータンは考えてから行動するので
心理分析をしながら見ていると飽きることがありません。

最近ジャックが「何か」考えていそうで目が離せません。

オランウータンのリアン

画:ゲンちゃん