2010年6月30日水曜日

旭山の近況報告 (平成22年6月)

天候不順が続き桜の開花も遅れましたね。
そして今年は宮崎での口蹄疫の発生。
北海道でも防疫対策がとられ始め、

農家の方は不安な日々を過ごされていると思います。
宮崎牛ブランドの危機以前に、日本の食の保証の観点から
危機管理をしなければならないのではないかと思います。
国の対応が毅然としていないと感じるのは僕だけでしょうか。

当園は、北海道や近郊の酪農家の対策と歩調を合わせ、
来園者の踏み込み消毒、口蹄疫に感受性のある動物に
来園者が触ることができないようにする対策を実施しました。
万が一動物園での発生があると

あらゆる分野の大きな悪影響が及んでしまいます。
この手紙が届く頃には事態が沈静化していることを祈るばかりです。

夏期開園からあっという間の一ヶ月でしたが、
もしかしたらと密かに期待していたオオカミの出産はありませんでしたね。
来年こそ期待したいです。
今は別飼育としているケンの姉妹メリーは新たな飼育先が見つかり、
引っ越しの日取りなど現在調整中です。
新天地ではすこし年上のオスとペアーになる予定です。
メリーはとても気性が強いのでちょっと心配ですが、
とてもオオカミらしい個体なので、

どこに出しても恥ずかしくない自信はあります。

無事にオープンした「もうきん舎」。
神経質だったオジロワシも急速に来園者を見慣れて
来園者の前でも悠然と構えるようになりました。
さらに池に放したニジマスを捕まえ食べるようにもなりました。
着実に野生が蘇ってきています。
傷病鳥として保護され

野生復帰が不可能と判断し飼育を継続してきた個体たちです。
こんなにも生き生きとした表情を見せるようになるのかと感無量です。

円山から来たホッキョクグマのサツキはイワンと交尾をしました。
発情が一度も確認されていなかったサツキに発情が来たのです。
イワンの執着心が弱かったのが気がかりですが交尾は確認できました。
少なくとも出産の可能性は生まれました。
ホッキョクグマの場合、出産後に育児をするかどうかが勝負になります。
出産、育児をするための環境をしっかりと整備しなければいけません。 

育児をさせるのではなく育児をしたくなる環境を考えなければいけません。
今年はルルとサツキのダブル出産に備えなければいけないのですが、
まさかこんなことになるとはうれしくて夢のある誤算でした。
ただイワンはまだメスを妊娠させた実績はないので

過度の期待は抱かないようにしつつ…でも期待する微妙な気持ちです。

※この日記は5月下旬に書いたものです。
口蹄疫に関しては現在も防疫対策を継続しています。
ホッキョクグマの親子(ゲンちゃん画伯)