2003年4月30日水曜日

野生動物との共存(平成15年春)

やっぱりフルタイムの夏期開園は気分が違います。
みるみる緑が濃くなって花が咲いて命の力強さを感じますね。
今年は恒例の秋の獣舎オープンがありません。
これで入園者が減ったら「やっぱり話題性だったんだね。」
になって悔しいです。
動物園で展示しているのは命です。
飽きられる様なことをしてはいけないと思っています。
とかいいながら今はちょっと5月病です。
いつも4月の夏期開園準備期間に一度燃え尽きてしまいます。
「ふむふむパネル」はまだまだたくさん作らないと、と毎日が過ぎています。

話は変わるのですが、1995年から北海道が
(財)日本野鳥の会と共催で「ヒナを拾わないで!!」
キャンペーンをやっています。
知ってました?知らない、やっぱりって感じですけど、
動物園ではこれからが保護動物の持ち込みのピークを迎えます。
そして半数以上がヒナや巣立ちした若鳥です。

このキャンペーンの趣旨は、巣立ちビナが、
もしも地面に落ちていてもそれは自然界のできごとなので、
かわいそうだけで拾ってしまうといった
干渉はしないようにしましょうというものです。
チゴハヤブサというタカの仲間がいます。
旭川でも市街地で繁殖しています。
このチゴハヤブサが雛3羽を巣立ちさせるのに
300羽以上の小鳥を餌として捕まえてきます。
小鳥の多くは飛び方が上手でない、
あるいは独り立ちがうまくできずに弱った巣立ち後の小鳥が多いのです。
食物連鎖と一言で言いますが、そこには必ず死があります。
死ぬであろう命を見つけたときどう感じるか、どう対処できるかは、
どれだけ知識があるかで大きく変わりますね。

ただ、明らかに僕たち人間の営みが原因で弱った巣立ちビナもたくさんいます。
河川敷の草刈り、街路樹や庭木のせんてい、ガラス窓への衝突、農薬中毒・・・
これは僕たちが責任をとらなければいけません。
 
これから野生動物との共存を考えるとき、僕たちが奪いすぎた環境の中に、
どれだけ彼らを戻すことができるかを考えることが必要でしょう。
そこには人為的な営みが原因で
失われるであろう命を目の当たりにする機会も増えるでしょう。

人間が犯してきた罪をどう償うのか、
何ができるのかちょっと考えてみて下さい。

チゴハヤブサ

画:ゲンちゃん