2006年12月31日日曜日

年末に思うこと (平成18年12月)

冬季開園が始まりました。
ふたを開けてみると恐ろしいことに
対前年同月比200%の入園者数です。
気候も変だけど,こっちの方がもっと異変です。
年が明けてからはペースダウンしてもらわないと
真剣にパンクしてしまいます。

ペンギンの散歩が…。
先日,新聞でも報道されたように,園内フラッシュ撮影の禁止,
ペンギンの人止め柵の改修をしました。
残念ですが,マナーの悪化に歯止めが掛かりません。
ペンギンの散歩はマナーを守ってもらえないと出来ません。
ロープなどを張ってまで行う気はありません。
ロープを張ってペンギンとお客さんを物理的に分けると
パレードになってしまうからです。
来園者がとても多いので,
パレードとか行進といったイメージがつきまとうのですが,
僕たちはあくまで散歩がしたいのです。

キングペンギンは集団で歩くのも,ごく当たり前の習性だからです。
ペンギンの安全が確保できないと判断したら,
散歩の途中で引き返したり,
中止せざるを得ないのですが,
実際,そうなったらどうなるんでしょうね。
罵声の嵐どころじゃ収まらないでしょうか?
覚悟だけは決めておくしかないようです。

観光誘致やさまざまなPRも必要ですが,
目的は来園者数の増加ではなく,
来園された方にどのような気持ちを
持って帰ってもらえたかが重要なのですから,
履き違えないようにしなければ,
それこそブームで終わるような気がします。
今が今のためだけであってはいけないと,
こんな時だからこそしっかりと意識しなければいけないのだと思います。

さて,先日かみね動物園のゴリラ同居のドキュメンタリー番組を見ました。
とても立派な雄でゴンタのことを思い出しました。
惚れ惚れするような立派な体格,
腕力があるのに,信じられない程デリケートで繊細な神経の持ち主。
強いものが際限なく強くなっていかない自然の巧みさを感じます。
番組を見て飼育するとは相手をどこまで理解し読み切り,
自信を持って向きあうことが出来るか,なのだと思いを新たにさせられました。

番組の最後に
「このままではゴリラは本や映像の世界でしか
出会えない存在になってしまう」とありました。
生身のゴリラを目の前にして受ける気高さや存在感,
存在そのものから発するメッセージは何物にも代え難いはずです。

動物園は誰のためにあるの?
それは,きっと飼育動物たちのふるさとに住む彼らの仲間のために,
そして私たちが彼らを守るためにあるのです。