2007年3月27日火曜日

300万人ありがとう!(平成19年3月27日)

今年度の来園者数がなんと300万人を超えました。
思えば4年前100万人なんてあり得ないって言っていたのが,妙に懐かしかったりします。
 
あざらし館がオープンした平成16年度,来園者数が145万を超えたころから
ぼくたちの歩みのスピードや思いと,マスコミや来園者の評価,期待に
どこかズレが生まれ始めたような違和感,不安がありました。
それは今でも続いています。
来園者の急増よりも,ぼくたちの方が早く先回りができればいいのですが,
追いつくことすらできていないのが現状かもしれません。

動物園は,博物館や美術館のように
ある特定の目的を持った人だけが来る施設ではありません。
デートであったり孫を連れての行楽だったり観光だったり…
不特定多数の人が集まる場所だからこそ可能性は無限なはずです。
未来の地球のことや,自分たちのことを考えるとき,
何を大切に思い,守り,反省をしなければいけないのか。

環境問題や動物の保護にそれほど関心の無い人たちも含めて,
みんなが「これはこうしなければいけないね」といった
共通の価値観を作らなければいけないと思います。
動物園にはその可能性があると信じています。
関心の高い人たちだけがこうあるべきだと言っていても社会は動きません。
今まで動物のドキュメンタリー番組なんて見なかった人が,
動物園に足を運んだことがきっかけで,ふとチャンネルを合わせる,
ふと無駄についている電気を消してみる,
そんなことにつながっていけばすばらしいことだと思います。

旭山動物園がすごいのではありません。
当たり前ですが動物たちがすばらしいのです。
ぼくたちは来園者数に惑わさせることなく,
ぼくたちヒトの価値観の中で見る,見せるのではなく,
動物たちのありのままの姿をしっかりと伝える努力を淡々と続けていきたいと思います。

たくさんの方に来園していただき本当にありがとうございました。

2007年3月10日土曜日

暖冬との戦い!(平成19年3月)

冬期限定のペンギンの第2放飼場をつくっています。
トボガン広場と命名しました。
ぺんぎん館の向かいに雪の積もった放飼場をつくり,
ジェンツーペンギンが自由に行き来したらいいなと思っています。

第2放飼場まではお客さんの頭上に橋を架けその上をペンギンが渡る形になります。
ちょっときつい傾斜になるのですが,そのことでキングペンギンは
好んでは行きたがらないだろうと読んでいます。
みんなが第2放飼場に行ってしまっては,困りますからね。
 
実はキングペンギンの散歩の時,ジェンツーペンギンも出たがります。
でもジェンツーペンギンはキングペンギンに比べ動きが素早く,好奇心が強く,
集団性が弱いため,さすがに来園者と全く隔てるものがない状況で
散歩に連れて行くわけにはいきません。
かといって隔てるのは散歩の主旨に反します。
 
活発で運動量が多く旭山で飼育しているペンギンの中では最も冬を得意とする
ジェンツーペンギンのために何かいい方法はないかと考えていました。
もっとも今の段階では作成途中なのでどのような結果になるのか分かりませんが…

トボガンというのは,
雪中で腹這いになりフリッパーと足を使って移動する様子のことです。
英語で「小型のソリ」を意味します。
ふみ固まった雪上だと立ったまま歩くのですが,雪が深くなると,
トボガンの方が移動しやすくなります。
旭山ではキングペンギンとジェンツーペンギンがトボガンを得意としていて,
新雪が降り積もった状況では自ら好んで雪浴びとトボガンをします。
ただしトボガンが始まると,あのヨチヨチ歩きからは想像できないくらい,
魚雷のようなスピードが出て,ペンギンがハイな状態(おだった)になると,
どこに突進するか分からなくなります。
散歩のルートにもわざとに除雪をしないエリアがあるのですが,
たまにお客さんの列に突入しそうになりあわてる場面があります。
 
トボガン広場になればいいのですが,今年は暖冬で,
なかなかフワフワの新雪が積もった状態にはなりません。
彼らが身につけた,寒冷地ならではの素晴らしい能力を
発揮できる場面を作り出せるかちょっと心配です。 
 
あざらし館のスタッフが一生懸命に取り組んでいる
「あざらし館に流氷」作戦も難航しています。
なんせ気温が高すぎです。
今日,氷屋さんから氷を取り寄せプールに投入し勝負に出ました。
明日から最低気温の低い日(といってもせいぜい-10度)が続きそうだからです。
こうなったら一回でもいいから
アザラシが氷に開いた穴から顔を出すシーンを見たいものです。
 この号が出る頃,雪はあるのでしょうか?
トボガン広場,流氷作戦の結果はどうなっているのでしょうか

さて,この文書は2月の下旬に書いたものでした。結果はいかに!

トボガン広場ですが,
初日からジェンツーペンギン数羽が早速広場に探検に来ました。
ここまでは良かったのですが,
さらさらの雪が積もることはなく,むしろ雪が溶ける日が多く,
園内から雪を運んで入れるありさまでした。
したがって,ひなたぼっこや昼寝の広場になっています。
さらに発情期を迎えたフンボルトペンギンが
新天地を求めて?やってくるようになりました。
寒ければ来ないのでしょうが…。

あざらし館に流氷作戦は一日だけ,
早朝に氷の穴から顔を出すアザラシが見られました。
感動でした!ただ開園の時間には…でした。

暖冬には勝てませんでした。来年こそ当たり前に寒くなるように!

トボガンするジェンツーペンギン(ゲンちゃん画伯)