2010年11月30日火曜日

「恩返し」第一弾 partⅡ (平成22年11月)

今年は国際的にも生物多様性年という位置付け、
名古屋で生物多様性条約締約国会議COP10が開催されています。
ここでいう生物多様性とは、環境の多様性、種の多様性、

遺伝子の多様性のことをいうのですが、
取っ付きにくくわかりにくいですね。

名古屋ではいきもの会議と呼んでいますが、

これも漠然としていますね。
本来であれば地球規模でヒトも含めてたくさんの生き物が
共に暮らし続ける未来のための道を探ることが
大きな目的なはずなのですが、
残念ながら盛り上がりに欠けています。

大きな原因は、生物を遺伝資源と見て、

国同士の利権の争いの様相を呈してきたからでしょう。
どこまで行っても自分たちが得たものは譲らない、

引き返さないのであれば
未来は厳しいのかも知れません。
結局すべてが経済最優先なんですね。

旭山動物園が取り組んでいる恩返しプロジェクトは

経済の仕組みとは離れた立ち位置から、
共に生きる未来を見ようというのがコンセプトです。
私たちの日常の暮らしが本来そこに暮らす生き物たちの

豊かさを奪い続けていることが、生物多様性を損なう原因です。

ですから消費者が主体となり、ありがとうの気持ちをかたちにして、
そこで暮らす動物のためになる取り組みをしたいと考えたのです。
第一弾のボルネオへの恩返しは、

マレーシア国サバ州にボルネオゾウを中心に
ボルネオオランウータンなどの野生生物の

レスキューセンター設立を目標にしています。

寄附型の自動販売機の売り上げなどを通して

たくさんのお金が集まりました。
成果としてゾウレスキュー用の檻をつくり現地に持っていきました。

現地ではアブラヤシの畑に出るゾウを救出し

ジャングルに戻す活動をしているのですが、
実用に耐えるゾウの檻が確保できない現状にありました。
現地ではこの檻を使いゾウの救出が成功しました。

これを機にプロジェクトを加速していきたいと思います。
この成果はCOP10のシンポジウムの場で発表し、

たくさんの方の関心を集めました。
日常生活も経済といえば経済なのですが、
現地への返し方が経済の仕組みに巻き込まれていないことが、
持続可能な生物多様性の保全に貢献し続けると思います。

保全活動には必ずお金が必要なのですが、
お金を現地で生み出そうとすると観光などが切り口となるのですが、
観光は必ずしもいいことばかりではありませんね。

もうすぐ冬季開園が始まります。
今年はどんな冬になるのでしょう?
稚内で検出された高病原性鳥インフルエンザも心配です。
充実した年の瀬を迎えたいなと願っています。 
ゾウと檻(ゲンちゃん画伯)