2012年11月30日金曜日

ライオンのライラ (平成24年11月)

もうじゅう館が出来てから、14年が経ちました。
もうじゅう館のオープンの前年、ライオンのライラ、レイラが来園しました。
来園時1才でした。

先代のベルとララがその年の一月に相次いで老衰で死亡したために
動物交換で旭山にやってきました。
ライラもレイラも落ち着きがなく、僕たちの動きに神経質に反応していました。
特にタオルを振り回すと怯えていました。
ライラもレイラも前足の爪がなく、
サーカスのような施設で飼育されていたようでした。

当園では調教という発想はないので、
狭い環境ながらもライオンとしてのプライドを傷つけないよう
細心の注意を払い飼育を始めました。
しっかりと子育てのできるライオンに育って欲しかったからです。
新しい施設でオス、メス、子供たちが野性のようなプライドと呼ばれる
群れを形成して暮らす姿を僕たちも見たかったのです。

2頭とも順調に大人になり、もうじゅう館に引っ越しました。
翌年、待望の赤ちゃんが生まれました。4頭です。
産室でメスのレイラと過ごし足腰もしっかりしてきた頃、
いよいよライラとの同居となりました。
野性でもメスは群れを離れ出産し、
子供が自分で歩けるようになってから群れに戻ってきます。

ライラは子供を受け入れてくれるでしょうか?緊張しました。
ライラを放飼場に出し続いてレイラと子供たちを出しました。
子供たちは始めて見る外の景色に緊張していました。
ライラも不思議なものを見るように戸惑っていました。

しばらくして子供たちは好奇心からライラに近寄り
たてがみにまとわりつき遊び始めました。
ライラはとまどい子供を軽く払いのけました。
子供がギャッと鳴きました。

するとレイラが駆け寄ってライラに思いっきりネコパンチをしたのです。
それ以来ライラは子供たちが近寄ってくると
ちょっと困ったように優しくじゃれるようになりました。
子供がちょっとでもギャッと鳴くとレイラが飛んでくるからです。
肉体的には圧倒的に強いライラが
レイラに対してとても優しい心遣いをしていました。

その後も何回か繁殖し
成長した子供たちは順調に他の動物園にもらわれていきました。
最後にアキラという子のもらい手が決まらずに繁殖を制限するため、
ここ数年はライラとレイラは別居させていました。
今年アキラが釧路市動物園にもらわれていきました。
ライラもレイラも初老になってしまいましたが久しぶりの同居となりました。
繁殖はダメでも最後は2頭で過ごさせてと考えていました。

先日急にライラの元気がなくなりました。
必死の原因究明と治療を行っています。なんと毛球症でした。
大量の毛玉を何度か排便し徐々に元気になりつつあります。
このまま順調に回復して欲しいと祈っています。
 ※現在ライラは順調に回復し展示を再開しております。