2014年5月30日金曜日

閉園期間があるから、個性が生まれる (平成26年5月)

久しぶりに春が来た!と感じられる陽気です。
雪解けも一気に進んでいます。
野鳥のさえずりも盛んになり、
空を見上げると白鳥がV字編隊で飛んでいます。
今年は春の開園が4月26日と早いため閉園期間が短く、
皆てんやわんやで作業をしています。
皆エンジンがかかるのが早いのです。
確かに開園期間中には施設観覧閉鎖しなければできない、
手すりのペンキ塗り、舗装の補修、動物舎の改修、
プールの濾過装置のメンテナンス、手作り遊具の新設、
看板の撤去、新設…きりがありませんから。

思い返すと私が動物園に就職した頃は、冬期間、といっても
10月の下旬から翌年の4月下旬まで実に一年の半分が閉園期間でした。
お客さんから、みんな大変だね、半年間失業するんでしょ、
失業保険もらうの?出稼ぎなの?と真顔で言われたものです。
当時は、冬に開園するという発想もお金もありませんでした。
そもそも冬に開園しても屋外施設は
スキー、スケート場以外人は来ないが常識でした。
でも「日本最北の動物園」ってうたっていて、
冬に閉園している動物園これっておかしくないか?
そんな思いはありました。
人数限定の冬の動物観察会、歩くスキーで動物園を楽しむ会など
試行的に冬を楽しんでもらう企画を徐々に充実させて、
さらに長い道のりをかけて現在の冬期開園が定着しました。
スポーツ系以外の屋外施設で
冬期間これだけの集客をする施設が現れることは
予想だにしなかったことと言われています。

日本に90以上ある動物園の中で
10年も入園者数上位3位以内を維持している原点は何なのか?
珍しい動物もいないのに…
それは他園とは違う際だった個性なのではないでしょうか?

そしてこの個性は、旭山開園以来一貫して存在する雪解けの春と
冬囲いの晩秋のまとまった閉園期間から生まれたと言えます。
実際他園間から羨ましがられます。
週一の閉園日があっても、開園していると日常に追われ、流され、
立ち止まりまとまって考えたり具体化したりできない、
旭山のように手書きの情報をこんなにたくさん書いたり
毎年リニューアルしたりとてもできない、
何より動物にだけ向き合う時間を持てること、
向き合った結果を具体化できる時間を持てるのが
羨ましいと言われます。

実際この期間は春の開園日に照準を合わせて、
看板ははがされ、園路には砂や木材の山が築かれ、
とても開園できる状態ではないのです。

さて2014年新たな開園に向け頑張りますか。