2010年3月31日水曜日

”いのち”を繋ぐ (平成22年3月)

毎度のことながら、あっという間に2月です。

オオカミに発情が来て2頭の仲は急接近かと思えば変によそよそしかったり、
駆け引きが続いています。
お互いが認め合って始めてペアの誕生なのですが、やきもきします。

レッサーパンダも恋の季節を迎え、交尾も確認できました。
どちらも年一回の恋の季節です。
出産を期待しながら春を待つのはいいものですね。

ホッキョクグマのサツキが円山動物園からやってきました。
サツキはおびひろ動物園で長い期間、1頭で飼育されていたのですが、
繁殖を期待し円山動物園に移動しました。
デナリとの繁殖を期待したのです。

ところが一昨年、昨年と同居を試みたのですが、
サツキが怯えてデナリとの同居は成功しませんでした。
デナリもサツキに対しての関心は高くなかったようです。

ホッキョクグマは雌に発情が来ると、強引に交尾をします。
恋の駆け引きなんてないといってもいいでしょう。
北極の大氷原で雄と雌が出会う機会は多くはなく、
生きることに精一杯な中では駆け引きなどしている余裕はないのでしょう。
寒さはあらゆることを先鋭化します。
サツキは雌としての発情がはっきりとしない個体なのかも知れません。

サツキは18才です。
繁殖経験がないことを考慮すると
繁殖の可能性という点ではあと数年でしょうか。
イワンとサツキの繁殖に成功すれば新たな血統が生まれます。

現在順調に繁殖している円山のデナリとララですが、
ララと旭山のルルは姉妹です。
釧路のクルミがデナリとの子を産んでも、イワンとルルに子ができても、
北海道内ではすべて血縁関係になり、
将来につながるペアーをつくることはできません。
サツキに可能性がある限りその可能性に賭けようと
今回の移動が決まりました。

サツキはとても順応性の高い個体で
旭山の環境にもすんなりと馴染みました。
一般的には4月に発情が来る可能性が高いので、
イワンとの同居に備え準備を整えています。

命を繋ぐことは自然界でも飼育下でも何よりも大切なことなのです。
ホッキョクグマの血縁関係(ゲンちゃん画伯)