2014年9月30日火曜日

「ほたるのこみち」 の出発点 (平成26年9月)

お盆で帰省した方にもゆっくりとふるさとの動物園を
楽しんでもらおうと始めた夜の動物園、
最終日の15日、夜の部の一日の入園者数の記録を更新しました。
あの300万人時代よりも多くの方が訪れました。

ホタルの小道はさすがに行列が延びましたが、
園内にまんべんなくお客さんがいる状況で、
それぞれの施設を思い思いに見ていただけているのかなと感じました。
開園時間の急遽延長などバタバタしましたが嬉しい悲鳴でした。

そういえばホタルの小道のヘイケボタルですがどこから来てどうなるの?
と多くの方に聞かれます。
元々は夜の動物園が始まったころ、夜ならではのことをやろうと、
自分たちでホタルをほんの数匹採集してプラケースで見てもらおうと始めました。
実はヘイケボタルは身近なところにまだまだいると言うこと、農薬との関係…
お客さんと会話しながらガイドをしていました。
夜の動物園も多くの来園者が来るようになり、
数匹のホタルでは対応の限界を迎えました。
環境に負担をかけないように園内で繁殖させたホタルを見てもらうようにしようと
ホタルの繁殖に取り組みました。
ある程度繁殖は成功したのですが、幼虫の飼育温度環境が高くて
成虫のでる時期が6月から7月にかけてと
自然のリズムよりも早い時期になってしまいました。

本州にホタルの養殖業者があることは知っていたので
そこからの購入を検討しました。
自然のホタルを乱獲するのではなく、飼育下で何代にもわたり系代し
大量にホタルを発生させていました。
カブトムシの養殖業と同じです。
本州から購入してホタルを見てもらうことに決定しました。
ただし展示が終わったヘイケボタルは北海道のヘイケボタルと同じ種ですが、
発光パターン等が地域によって違うことが分かっているので
安易に北海道に持ち込んで自然に放してはいけません。

購入するホタルはほぼ全部雄で、
万が一にも周りに繁殖できる環境がない場所で展示することとしました。
購入しておおむね1週間ですべてのホタルの成虫の寿命は10日前後です。
夜の動物園が終わり数日ですべてのホタルが寿命を迎えます。

ホタルの小道では年配の方が昔はたくさんいたんだよ、
懐かしいねとの会話をよく耳にします。
小川、あぜ、田んぼ旭川の原風景は今でも健在なのに
なぜホタルはいなくなったんだろう?
そんなことをふと考えてもらえたらとの思いがホタルの小道の出発点でした。
今でも細々とヘイケボタルは生息しています。
昔のようにホタルと一緒に育ったお米を食べることができたら
どんなにすばらしいでしょう。
現代の技術の使い方を変えたら可能なのではないかと思ったりします。

旭川の夏の景色にホタルがいる、夢のある町になれそうです。