2012年12月31日月曜日

向き合う (平成24年12月)

今年は特に早い一年でした。
そんな中で北海道産動物舎のリニューアルオープンを
無事に迎えることができました。
地元の動物を地元の動物園でしっかりと充実させたい、
という思いが昔からありました。

昔は飼育動物の半数以上が傷病鳥獣として保護されて
野性復帰できない動物たちでした。
その頃から感じていたのは自分たちも含めて
地元の生き物のことを知らないと言うことでした。

例えば明日キングペンギンが来るよ、と言われても
どのように飼育すればいいのか分かっているので
それほど困ることはありません。
でもシギの仲間が保護されたらまず種の同定から始まり、
図鑑的な知識を学び、どのような収容施設にするのかを考えます。

さらに治療の有無にかかわらず
強制的に餌を口に入れて食べさせていたのでは
やがてそのストレスで死んでしまうので、
自分から与えた餌を食べるようにしなければいけません。
実はこれがとても難しいのです。

本に書いてある習性ではなく、
環境の変化への反応や好奇心や警戒心、
食欲を刺激するきっかけなど
実際に向き合わなければ分からないことがとても多いからです。
そのたびに「こいつは凄い!」という思いを抱きました。
フィールドで観察するのとは違い、生き方を知ると
そこにいることがとても凄いことだと感じるようになります。
身近な自然の見え方が変わってきます。

自然を大切にと言いますが
実は何を大切にするのかを感覚で捉えている人は
少ないのではないでしょうか?
豊かな大地北海道と言いますが、
豊かとは何を指しているのでしょうか?
そんなことをふと考えさせられたり、
気づけたりできる施設を造らなければいけないとの思いがありました。
なんだ地元の動物か、なんて思わず足を運んで頂けたらと思います。

今年は何かとマイナス思考になる出来事が多くありましたが、
災い転じて福となす、来年でありたいと思います。