2015年11月18日水曜日

雌のキリンを寝室に入れるのに四苦八苦 (平成27年11月)

さてさて、あっという間に夕方5時も過ぎると暗くなります。毎年思うのですが、
10月に入ると急に日が短くなり始めるように感じます。
365分の1づつのペースではないような…

9月に続き10月も週末になるたびに天気が崩れます。
なんか滅入ってしまいますね。

10月には無事にキリンの雌、イボイノシシ、
そしてレッサーパンダの仔のお披露目ができました。
新しい命を迎え入れること、誕生することはやはり嬉しいものです。
個人的にはイボイノシシの成長が楽しみです。
上顎の犬歯がどのように伸びていくのか、どこまで大きくなるのか、
どんな行動が観られるのか…興味は尽きません。

新しく来たキリンの旭山の環境への順応はとても順調です。
アメリカから飛行機で日本に来て、
2週間の検疫を行い陸路旭山にやってきました。
輸送檻をクレーンで獣舎の扉と向かい合わせに置き、
両方の扉を開け寝室内にキリンを迎え入れます。
通常だと輸送檻の居心地はよくないので、
初めての環境に足を踏み出す怖さよりも、
輸送檻から出たい意識の方が強く働くので、
一時間もすると意を決して輸送檻から出てくるのですが、
今回は長旅用の輸送檻で空間も広めで、
寝室のような落ち着く環境になってしまっていました。
いざ扉を開けても輸送檻から出てきません。
彼女のペースで寝室内を覗かせ環境の確認をさせ、
寝室内にはおいしいものもあるよと誘惑を試みました。
扉から首を伸ばして周りを見回し、
手からリンゴも受け取るのですが、前足の一歩がでません。
一呼吸入れて、檻の天井の隙間から細い棒で体を触り、
ここは居心地がよくないんだよ作戦に切り替えました。

キリンは檻の中でくるくる回り
出口から顔を出すのですがぴたりと止まります。
次に檻に張ってあった、
目隠しの板を外しさらに不愉快な環境にしました。
後一歩で寝室と言うところまでいくのですがダメです。
ここで深追いをするとパニックを起こし
取り返しのつかない事故になりかねません。
あくまで最後は自分の意思で一歩を踏み出させなければいけません。
また一呼吸入れてから、
天井からのプレッシャーをかけつつ檻の横からものぞき込み作戦としました。
移動開始からほぼ4時間、ついにキリンは寝室に入り旭山の住人になりました。
その後もとても順調です。
キリンの雄ゲンキもソワソワ、ワクワクです。 
これから冬を迎えます。
南方系の動物を飼育するのに冬がハンデだとは考えていませんが、
雪が積もると足が滑ることを覚えてもらうこと、これが一番のハードルです。
一度滑り歩きを覚えたらもう心配はいりません。
平地に雪が積もる日もすぐそこに迫っています。


旭山に来園した雌のキリン