2008年1月30日水曜日

好奇心!(平成20年1月)

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
干支にちなんだ動物たち、ネズミ目(げっ歯目)は,
カピバラ,アフリカタテガミヤマアラシ,エゾモモンガ,
エゾリス,モルモット,チンチラ,マウス,
そして園内のどこかに,でもそこら中にいるクマネズミ,ドブネズミ,
さらに在来種のエゾヤチネズミなどの野ネズミたち。
ちなみにトガリネズミやハリネズミの仲間は
名前はネズミだけどモグラ目(食虫目)
つまりモグラの仲間でネズミの仲間ではありません。
 
おめでとうといいながら原稿は12月に書いています。
昨日はペンギンの散歩で
ジェンツーペンギンのペアー2羽を連れて行きました。
「うれしくて」仕方がないのでしょう。
物怖じすることもなくスタスタと先頭を早足で走ります。
ふと興味をひいたものがあるとまっしぐらです。
コース右手の土手に登るは,落ち葉を追いかけるは
散歩させているスタッフは疲れ果てました。
来園者には目もくれません。
こうも純粋に警戒心よりも
好奇心が勝ってしまう生き物がいるのでしょうか。
散歩の主役キングペンギンは
それなりに周りの状況を気にかけています。
「飼育下生まれだからじゃないの?」それはないと思います。
飼育下生まれでも元来持っている種の習性や,
警戒心はあるものです。
このような振る舞いができる
ジェンツーペンギンのふるさとはどんな場所なのだろう?
一度はこの目で見てみたいと切に思います。 

今日はレッサーパンダの新施設の建設も大詰めを迎えたので,
レッサーパンダを試験的に放飼場に出してみました。
檻がなくなり戸惑うかと思いきや,
脱走防止のために貼った透明なアクリル板に頭から激突したり,
やはり好奇心が先行しました。
深さ1,5メートルの堀があるのですが,言い訳ですが深さについては
諸事情から大丈夫だろうと決めたのですが…
しばらくは「ここから先はいけないや」と気にしていない様子でした。
ところが今年生まれのやんちゃ坊主
(性別はまだ不明だけど行動からたぶんオス)が堀の底を見始めました。
すると何の躊躇もなく飛び降りました。
堀の底に溜まっていた水が飲みたかったようです。
飛び降りたら出られないのに…レッサーパンダも不思議な奴らです。
こんなのんびりとした憎めない生き物が野性で生きているなんて。
母なる地球は偉大です。
明日はいよいよ吊り橋が架かります。
オープンまで4日。
もう僕を悩ませないで欲しいなと祈るしかありません。

今年はオオカミの森です。
自分の中では大きな節目だと位置付けています。
皆さんが誇れる旭山動物園にまた一歩近づけるように頑張ります。

※この原稿はまだレッサーパンダ舎が完成していない時に書いたものです。
散歩するジェンツーペンギン(ゲンちゃん画伯)

2007年12月26日水曜日

みんなが主役!今度はレッサーパンダ!(平成19年12月)

さて,今年は例年になく早いドカ雪で,てんてこ舞いでしたね。
中途半端に気温が高いので,ツルツル路面になりやすく,
おかげで滑り止めの砂利の消費も想像を絶する量になっています。
今年度もやりくりが大変です。

年末に急遽決まった工事を着工しています。
設計・打ち合わせがのべ3日間で,
クリスマス前のオープンを目指しています。
動物にとっても,皆さんにとっても,
ささやかなクリスマスプレゼントになればいいのですが…。

工事内容は,レッサーパンダの「吊り橋」です。
レッサーパンダは樹上を好みます。
どうにかならないかな?と前から気になっていました。
レッサーパンダ舎の向かい側,
お客さんをはさむ場所に大きな木があります。
そこに行けるようにできないか?早速,具体化しました。
まず,既存のオリを撤去して,
檻越しではなく彼らを見ることができるようにします。
これも気になっていたことで,
この際なので思い切ってやってみました。
レッサーパンダは跳躍力がないので,
幅2メートルの堀で脱出防止をします。
かなり間近でレッサーパンダとご対面ができるはずです。

スッキリと天井が開いたので,空に向かって偽木を立て,
その偽木と大きな木に吊り橋を架けます。
少し危なっかしいのですが,冬も元気な彼らなので,
好奇心で吊り橋を渡って遊んでくれるでしょう。

夏になると木陰で昼寝をする姿が見られるでしょう。
どこにいるのか探すのに苦労するかも知れません。
レッサーパンダは「腹黒い」のですが,
逆光では見事な保護色です。
ちなみに,もう一カ所見所があるのですが,
それはできてからのお楽しみにしましょう。
なんか工事ばっかりしてるねって,声が聞こえてきそうですが,
もうしばらくお待ち下さい。

今年は,シーズン初めから「トボガン広場」を作ります。
ペンギンの散歩も始まっているでしょう。
そして来年の夏前にオープンするオオカミの森の着工です。
来年も超ハードな年になりそうですね。
まだまだやることはたくさんありますから…
レッサーパンダ(ゲンちゃん画伯)

2007年11月26日月曜日

秋の終わりに (平成19年11月)

夏期開園も終わりました。
今年は新施設もなかったので,
今年の来園者数がどのように推移するのかが,
現状が単にブームなのか,
ある程度の実力を蓄えた結果なのかを占えるのかな,
と考えていました。

結果はチンパンジーの森がオープンした昨年よりも
若干ですが増加しました。
ただし,喜んでもいられないこともあります。
団体ではなく,
一般の来園者や無料つまり子供の来園者数は減っているのです。
さらに,開園40周年7月1日の市民無料開放,
夏期開園終了翌日の市民感謝デー10月22日の来園者数は
想定をはるかに下回りました。
市民離れ,もしかしたら道民離れが加速しているようです。

本来,動物園は観光施設ではないと思っています。
動物たちの誕生や成長,老いや死,個体同士の関わりといった「営み」を
見続けることがとても大切なことだと思い,
そのように見て欲しいと考えてきました。
この視点が今までの動物園には欠けていたから,
珍しい動物に価値があるような見方になってしまったのだと思っています。

でも,営みを見続けるのはふと行きたい時に
足を運べる地元の人たちができることです。
その意味で動物園は地元にしっかりと根付いていなければいけません。
願いとは全く逆の現象が進行しているように思います。
この手紙を読んでいる市民のはたしてどれくらいの人が
動物園に足を運んでいただけたのでしょうか?

今は閉園期間中で,例年になく,たくさんの改修工事をしています。
動物舎関係では,ぺんぎん館の室内展示場の大改造,
イワトビペンギン,キングペンギン,
ジェンツーペンギンの繁殖エリアを充実させます。

彼らは真夏に繁殖するのですが,旭川の夏は少々暑すぎです。
冷房の効いた室内でペンギンも飼育係も安心して子育てができ,
見守ることができるようにします。
特に,体の小さいイワトビペンギンが他種のペンギン,
特にフンボルトペンギンに邪魔されずに
巣を構えられるようにと苦心しています。

「イワトビペンギンは登れるけど,フンボルトペンギンは登れない」が
キーワードになります。
はたして目的が達せられるでしょうか?

その他にも小動物舎,特にアライグマの放飼場に
アライ(洗い)場を新設します。
アライグマが落ち着ける空間になるでしょうか?
それと「こども牧場」の化粧直し。
気づけば10年も経ったのですね。
きれいに直してやりたいと思います。

11月・12月は「行列」はほとんどありません。
皆さん来て下さい!!!