2011年2月28日月曜日

今年は何が… (平成23年2月)

今年は、久しぶりにしっかりとした冬ですね。
でも雪の降り方が乱暴です。
札幌から岩見沢近辺まではどうなっちゃうのといわんばかりに
雪が降り続いています。
高速道路もJRも国道までもまったく当てにならない状態です。
札幌でさえ行くのをためらってしまいます。
逆も同じで帰りのことを考えると
旭山動物園に行くのもためらわれることでしょう。
団体旅行のバスも午前中に高速道路が封鎖になることが多いので
物理的にキャンセルが頻発しています。

温暖化といいますが、僕たちには体感できないくらいですが、

地球全体では気温が上昇していて、
海水温の上昇や海流の変化などが大きく影響して、
局地的な気候変動が起きているのは事実のようです。
じわじわと心地よく暖かくなるのではなく、
僕たちが対応不能な事態を伴いながら気候が変わっていくのでしょう。
環境と共に暮らす野生動物たちにとっては
急激な変化はさらに深刻な事態を招くと思われます。

旭山動物園のホッキョクグマの「サツキ」と「ルル」の繁殖は

今年は実現しませんでした。
ホッキョクグマはヒグマと異なり、
繁殖するメスだけが冬ごもりをします。
繁殖しないホッキョクグマは冬の間にたくさん食べ
体力をつけ春の発情期を迎えます。
結果としてサツキもルルも本来ならばしっかりと体力をつけるべき期間に
一ヶ月以上も絶食状態になっていたので、
これからしっかりと食べ寒さの中でしっかりと運動し、
春の発情を迎えられるようにしなければいけません。
可能性をより高めることが今年の目標になります。
 
現在進行形で考えるとうきうきしてしまうのは

茶色いクマ、そう、ヒグマの「とんこ」です。
現在出産のために産室で過ごしています。
行動の観察から出産の確率はかなり高いです。
ヒグマの繁殖成功は旭山では初になります。
「とんこ」も「くまぞう」も親を駆除され飼育下に持ち込まれた個体です。
ヒグマの愛情の深さや素晴らしさを伝えることが
命をあずかった僕たちの責任です。
(※ヒグマの「とんこ」は2011年1月17日に出産し、
現在順調に2頭の赤ちゃんが育っています)

春には北海道産の両生・は虫類舎とタンチョウ舎が完成します。

地元の生き物の素晴らしさをたくさん発見して欲しいと思います。
次は何を具体化するのかって?実はそこが問題なのですが…
まぁなるようになるということで目の前のことに全力投球で、
未来を切り開いていきましょう!
皆さん応援よろしくお願いします。
子育てするヒグマの「とんこ」(ゲンちゃん画伯)

2011年1月31日月曜日

新たな思い (平成23年1月)

明けましておめでとうございます。
今年こそは市民全員に足を運んでいただきたいと願う私であります。 

昨年の暮れ、僕が死んでも現役であろう若者数名、
つまり未来の担い手を連れて、
シマフクロウの営巣巣箱の清掃のお手伝いに行ってきました。

シマフクロウと聞いて皆さんは何を連想されましたか?
川、巨木、うっそうとした森…
どこか神秘に包まれた深い山奥ではないでしょうか?
北海道に約120羽しかいない希少な鳥です。

環境省はかなり前からシマフクロウの保護増殖事業に取り組んでいますが、
情報がほとんど公開されることはなく、棲息地等の情報も事実上秘密扱いで、
一般の目からは隠そうとしながら事業が継続しています。

そんなこともありシマフクロウは
どこか現実とはかけ離れた存在になっています。
大切にしなければいけないと言いながら
彼等の暮らしを知ることができないのです。

シマフクロウは巨木の樹洞で繁殖します。
ウグイなどの川魚を中心にノウサギ、小鳥などの小動物を食べます。
海が近ければ海水魚も食べます。

彼らは長距離を移動せずに、
水系沿いに移動しながら番で縄張りを持ち暮らしています。
実はウグイなどの魚が豊富にいる河川は
ある程度の水量があり流れの緩やかな河川ですから
山奥の秘境ではありません。
私たちが自分たちの生活圏に取り込んでしまった河畔林が
シマフクロウの生活圏だったのです。

今回お手伝いさせてもらった場所もイメージとは大きく異なり、
数十メートル先に畑や牧場がある平野部の河畔林でした。
正直エッこんな所に…ショックでした。
そこには養魚場があり、その魚に大きく依存しながら
2ペアーのシマフクロウが暮らしていました。
ある程度大きな木はあるのですが、
シマフクロウが利用できる大きな樹洞のある木は
既に朽ち果て、人工の巣箱で命を繋いでいました。

その巣箱をつくり、
植樹をしシマフクロウを見守っている会の人たちと共に寝泊まりしました。
環境省が主体ではないので学者、有識者ではありません。
その水系の豊かさを享受している人たち、
つまり養魚場、牧場、漁業、林業等に関わっている人たちでした。

森と海を繋ぐ豊かな川が自分たちに恵みをもたらしてくれる。
だからこの川を大切にすること、
つまりシマフクロウが生活できる河畔林を
守り育てることが大切で尊いこと…
熱く語ってくれました。

巣箱の清掃作業も皆冗談を言いながらみな笑顔で、
はれ物に触るような慎重なものではありませんでした。
シマフクロウが現実の暮らしの中にいました。
シマフクロウとそこに暮らす人たちに垣根はありませんでした。
僕には新たな目標ができました。今年も頑張ります!
シマフクロウ(ゲンちゃん画伯)

2011年1月2日日曜日

年始のあいさつ (平成23年1月2日)

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年は、我々が生きていく道しるべとしてのキーワードは
「エコ」、「生物多様性」そして「命の大切さ」だったでしょう。

エコという言葉は、何がエコなのか訳の分からないエコポイント
(自分も利用してしまったけど…)と共に言葉だけはすっかり定着しましたね。
そもそも買い換えるよりも
使い切ることの方がエコなのはわかりきったことなのにって
愚痴は置いておいて、エコって何?Co2削減ですか?
念仏のように唱えられていますが、
Co2削減は一手段であって目的ではありませんね。

ではエコの目的は目指すものは何?温暖化防止ですか?
仮に人類が増やしたCo2を削減して、
温暖化が防止あるいは遅らせることができたとしましょう。
でも今のやり方では
その結果として驚くほど多種の生き物が絶滅しているでしょう。

僕の考えるエコは「人類も含めて地球上のあらゆる生き物が
今よりも輝き続ける未来のためにできること」です。

そう考えると、省エネ、効率化は
ヒト以外にはやさしくない方向に向かっていると思いませんか?
ヒトが定住し田んぼや畑を作る以前から
そこにはたくさんの生き物が暮らしていました。
一昔前までは技術が未熟なためヒトは奪い続けながらも、
共有する生活を営んでいました。
家にはスズメが巣を作る煙突や換気口があり、
ツバメが巣を作る軒下があり
ヤモリやコウモリまでもが共に暮らしていました。
稲刈り後の田んぼには落ち穂がありたくさんの鳥が集まっていました。

今の省エネ住宅はスズメもツバメも暮らせません。
かといってどこかに替わりの場所を用意してあげてもいません。
土地の利用の仕方も今の私たちはすべてきっちり「いただきます」です。
グレーゾーンがなくなりすべて白黒はっきり全か無です。
僕は最新式の家よりも少しエネルギーの消費が多くても、
スズメや虫たちと暮らせる家の方がエコだと思います。
「スズメと共に暮らせる家」どこか発売しないですか?
きっとヒトも「心豊か」になれますよ。

僕のエコは、テレビをほとんど見ない(見る時間がない)、
庭が雑草ボウボウ、庭木は在来種もたくさん、
カーポートでスズメが巣作りできる、
カップ麺は食べない(パーム油)、できるだけ食べ残さない、
動物目線で物事を見る・考える・具体化するってとこでしょうかね。
でも車にはこだわりがあるのでエコカーにはできません。

僕が強く思うのは、ヒトが作り出したもので
ヒト以外の生き物のためになったものはないと言うこと、
そのことを自覚することから物事を組み立てないと、
ヒトとヒトに都合のいい生き物だけのための地球になってしまうのではないか?
豊かさの価値観を変えていかないと…

生物多様性、命の大切さについてはまたの機会に…書きますね。
みなさんにとってよい一年でありますように。 
2011年、年始(ゲンちゃん画伯)