早いもので夏期開園も後一ヶ月あまりで終わりますね。 これからが一年で二番目に忙しい閉園期間です。 ちなみに一番目は夏期開園準備の4月です。 夏期開園期間中にお客さんに迷惑をかけないよう にだましだまし使っていた設備類や 動物舎のの修繕、樹木の冬囲い… なんと言っても今年はきりん舎・かば館のオープンを控えています。 10月中には動物たちの引っ越しを終わらせたいと考えています。 冬季開園に合わせてのオープン予定なので動物の施設への馴致、 看板の作成、設備類の初期不良や不具合のチェック等々きっとてんてこ舞いです。 さて北海道産動物舎の近況を一つ。アライグマです。 実は一番の心配個体でした。 もともとレッサーパンダなどがいる小獣舎で飼育していたのですが、 こっちに引っ越してきました。 隣のエゾタヌキとの比較展示が目的で、木登りが得意、手先が器用、 壁を登る、戸を開ける…さまざまな能力を見て頂き、 なぜアライグマが特定外来種になったのかを 来園者自らが発見し理解してもらおうと考えていました。 ところがこのアライグマは開園時間中はほぼ動きがありません。 もともと夜間に活動するのですがそうではなく、 ひたすら外の刺激を遮断してじっと動かないのです。 最終的には来園者から丸見えのアクリルの小部屋で ひたすらじっとするようになりました。 暑い日差しの強い日もです。 熱中症が心配で水を凍らせたペットボトルを置いたりもしました。 このままでは個体にも展示としてもよくない状況でした。 実りの季節になり農家さんや職員の実家の農家さんから差し入れが届きます。 まずスイカです。丸ごと与えてみました。 閉園近い時間でしたがなんと食べに動きました。 それも一カ所に穴を開け中の身だけをくり抜くように食べました。 被害にあった農家さんのスイカと同じだ… 次にトウキビをいただいたので与えてみました。 これがアライグマ本来の習性を目覚めさせました。 木にぶら下げれば採りに登りひたすら器用に手を使いきれいに食べ終わるまで 周りを気にすることなく食べ続けます。 池にフナを入れるとまさに手でものを洗うように水中をまさぐり フナを捕まえてむしゃむしゃと食べるようになりました。 開園時間中でも活発に動き回るようになり、目がランランとしています。 そうか、アライグマにとってヒトが作る農作物は 特別な魅力のある食べ物なんだと発見した気がしました。 単に雑食性のアライグマ=農作物の被害 と言った構図ではないのかも知れないなと感じました。 | |||
この日記は旭川市の「市民広報」に「動物園からの手紙」として毎月掲載されているものの、ほぼ原文です。なにぶん、原文なので不適当表現や言いまわしがあると思いますが、お許しを・・・。番外編も要注目です。ゲンちゃん画伯が書いた絵も楽しみながら、読んでみて下さい。